メンズ・ファッションの地獄 第二回

地獄・第一回はこちら

 

第二圏 愛欲者の地獄

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CIRCLE Ⅱの部分

  地獄の旅も進み、「愛欲者の地獄」です。「肉欲に溺れた者が、荒れ狂う暴風に吹き流される」ところで、そこに来てこの「FAUX RICHE」(小金持ち? 偽金持ち?)呼びには笑ってしまいました。挙がっているブランドは「ラコステ」「バーバリー(ディフュージョン)」「アルマーニ・エクスチェンジ」「ポロ・ラルフローレン」、下に「エントリーレベルのスニーカー」として、「ナイキ エアフォース1」「アディダス サンバ」「コンバース チャックテイラー」「ヴァンズ オーセンティック」が続いています。

 

 ・ラコステ

 ・バーバリー(ディフュージョン)

 ・アルマーニ・エクスチェンジ

 ・ポロ・ラルフローレン

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画像元(https://www.fashion-press.net/news/32554

 まずラコステは胸のワニで有名なフランスのブランド(1933~)。テニス選手のルネ・ラコステによって創業され、ポロシャツが有名です。

 次のバーバリー(1856~)は(ディフュージョン)の註釈がついています。(ディフュージョン)とはディフュージョン・ラインのことで、「普及版」という意味合いを持ち、ブランドのイメージや特徴を残した低価格ラインのこと。

 バーバリーそのものはウィンストン・チャーチルも着用した英国ハイブランドですが、このディフュージョン・ラインは価格も「比較的」安く「FAUX RICHE」なのかと思われます。日本では三陽商会が生産していた「バーバリー・ブラックレーベル」(1998~)(現在はブラックレーベル・クレストブリッジ)が似たイメージでしょうか。格好良く、モノ自体も良い感じではありますが、現状の三陽商会を見るとディフージョンな印象は否定できません。この図は海外作成のもの(たぶん)なので、おそらくカジュアルラインだったバーバリー・ブリット等(2009~2015)を指すのかとも思うのですが、もっと詳しい人がいたら教えてください。

 アルマーニ・エクスチェンジ(1991~)も同様にイタリアのジョルジオ・アルマーニ(1975~)のディフュージョン・ライン。お店が銀と黒できらきらです。BIG STEPの一階に行こう!(大阪在住並の感想)。

 ポロ・ラルフローレン(1968~)はアメリカのブランド、ラルフ・ローレン(1968~)のライン(これはディフュージョンではないはず)。騎手が乗った馬のマークのポロシャツで有名です。古着やヒップホップのカルチャーでも人気があり、百貨店にもよく入っています。 

 第二圏は、ラグジュアリー調なアルマーニ・エクスチェンジから休日のお父さん的なポロ・ラルフローレン、ラコステまで雰囲気はいろいろ。一方で、価格がシャツで一万円以上してくるところは共通しています。辺獄を突破して地獄を進むと、最初にこの「ザ・ブランド」にぶつかるということかもしれません。

 言われてみると、たしかにすべて知名度が高く、はっきりどのブランドか分かる特徴が服に出ていたりもします(ロゴやマーク、柄等)。そして、ハイブランドほど高くはなく、学生でも頑張れば買える値段でもある。ラコステ等も含めて「FAUX RICHE」と言ってしまうのは悪い気がしますが、そのあたりの定番感から来たタイトルでしょうか。

 もっとも、メンズ・ファッションの地獄を歩むうえで、いったんこの「ザ・ブランド」を着出すことはありそう、というか、私はまさにスーパーの服→ファストファッション→フレッドペリー、と進んでいたので納得させられます。童貞の考えることは万国共通なのでしょうか(決めつけるな)。

 

 続けてスニーカー。

 ・ナイキ エア・フォース1

 ・アディダス サンバ

 ・コンバース チャックテイラー

 ・ヴァンズ オーセンティック

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アディダス サンバ 画像元(https://shop.adidas.jp/products/B75806/

 「エントリーレベルのスニーカー」として4つ挙げられています。

 ナイキのエアフォース1は1982年登場の「ナイキ・エア」を搭載した初のバスケットボール・シューズ。厚底で有名。タイトな服装に真っ白や真っ赤のエアフォース1を合わせたコーディネートを見かけます。

 アディダスのサンバは、1950年に登場したアディダスで最も古いモデルのひとつ(ちなみにスタンスミスは1971年登場)。サッカー用のシューズで、名前も1950年に開催されたブラジル・ワールドカップから来ているそうです。細身。

 コンバースのチャックテイラーは、「オールスター」という名前でも知られる大定番シューズ(使い分けることもあるようなのですが、コンバース公式でも「オールスター(通称チャックテイラー)」とあるのでひとまず)。1917年誕生、ハイカットと星のマークが特徴。「チャックテイラー」は、オールスターを愛用したプロバスケットボール選手の名前から。

 ヴァンズのオーセンティックは、ヴァンズの歴史のなかで最初に登場したモデル。1966年にオープンしたヴァンズがカスタムオーダーを行った際、サイズと色を選ぶベースモデルとして用意されたのが後にオーセンティックとして発売されるこのモデルだったとのこと。ダブルステッチとスケートボードに適したフラットなソールが特徴です。

 

 いずれも定番の名作スニーカーで、まずはここからという「エントリー」らしいセレクトを感じます。日本では、アディダスだとスタンスミスやスーパースターが推されている印象ですが、海外ではサンバなのかな?

 

第三圏 貪食者の地獄

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CIRCLE Ⅲの部分です

 第三圏は「貪食者の地獄」。「大食の罪を犯した者が、ケルベロスに引き裂かれて泥濘にのたうち回る」場所だそうです。ここでは「ファストファッション」と括られて、「アーバン・アウトフィッターズ」「リーバイス」「アメリカン・アパレル」「ザラ」「トップマン」「ユニクロ」が登場し、「プーマ」「オニツカ」「スペリー」のシューズブランドが間に挟まっています。おそらく「プーマ」がここなのは、地獄の番犬わんわんたるケルベロスとプーマのロゴのピューマをかけているのでは。動物繋がりで……。また、安くたくさん買えるファストファッションが「大食の罪」なのも、わかります。

 

 ・アーバン・アウトフィッターズ

 ・リーバイス

 ・アメリカン・アパレル

 ・ザラ

 ・トップマン

 ・ユニクロ

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アーバン・アウトフィッターズ

 アーバン・アウトフィッターズは1970年にスタートしたアメリカのブランド。公式サイトを見ると分かるとおり、キッチン用品やオーディオまでいろいろ扱っています。また画像にもチャンピオンのスウェットが出ていますが、ディッキーズやFILAなど、セレクトも行っている様子。ミスター・ジェントルマンやJieDaも載っていました。アメリカ以外にヨーロッパにも出店していますが、日本に店舗はありません。

 リーバイスは1853年創業の米ジーンズブランドの代表格。高いジーンズは高いですが、定番モデルやトップス、アウターなどはたしかにこのあたりの価格帯。もちろん日本にも路面店から百貨店、モールと多数店舗あり。

 

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画像元(https://www.fashionsnap.com/article/2018-04-25/americanapparel-japan-ec/

 1989年創業のアメリカン・アパレルは、公式サイトを見る感じ、ややスリムでシンプルな洋服をさまざまなカラーで展開する、という雰囲気で、少し昔のユニクロと似ている気がします。2005年に日本進出、渋谷レディース館は売上高世界一になるほどの人気だったものの、本国アメリカでの経営不振もあり、2016年には撤退しています。

 ザラはスペインのファッションブランド(1975~)。流行最先端のデザインを効率的な企画→工場→販売店の流れを使って安く販売する「ファスト・ファッション」の代名詞的存在です。デザイナーズブランドの優れたデザインを取り入れて、あっという間に全世界で販売、次の商品に回転させていくやり方は、デザイナーに訴えられたり賛否両論ですがその分、際だったデザインの商品も置かれ、ストリートスナップでも人気があります。H&M等に比べると価格帯は高め。日本では1998年から出店しています。

 

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トップマンジャパンのインスタグラム(2015年1月ごろ)

 トップマンはイギリスのアパレルブランド、トップショップのメンズライン。1964年に百貨店ピーターロビンソンの服売場からスタートし、1974年独立、1978年にトップマンがスタートしています。1999年、ブランドディレクターの変更とともによりファッション性あるブランドに変化、キム・ジョーンズやアンブッシュともコラボレーションを行ったとのこと。日本には2006年に進出、新宿駅前に店舗を構えるなど人気を博していましたが、2015年に全店閉店。公式サイトを見ると、ストリート寄りのブランドの様子。

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ルック。画像元(https://www.fashion-press.net/collections/2591

 このルックは格好良いですね。

 最後は我らがユニクロ。海外では少し値段も高く、高品質でシンプルなブランドと捉えられているようなので、ザラ等と並ぶこの位置なのかもしれません(日本ではしまむら、GUと並べて考えているひとも多い気がします)。1949年、山口県の紳士服店から始まり、広島県にユニーク・クロージング・ウエアハウスの名前で1984年、1号店をオープン(現存せず)。フリースで大ヒットした後、最近ではクリストフ・ルメールとのコラボレーション「ユニクロU」、機能性下着エアリズム、ヒートテックなどが好評を博しています。

 

 「ザ・ブランド」期を抜けた第三圏では、リーバイスのような定番品やユニクロ等シンプルで質の良い服、モード色の強い、デザインに凝ったザラなどが登場。これも、フレッドペリーから始まって、次にリーバイスのジーンズを買いに行った私には、刺さってくるリアリティです。ブランド名だけでなく、生地やデザインに目が向いていく時期なのかもしれません。

 

 ・プーマ

 ・オニツカ(オニツカタイガー)

 ・スペリー(・トップサイダー)

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スペリー・トップサイダーのデッキシューズ。(画像元 https://www.abc-mart.net/shop/g/g5999090001019/?affiliate=sperry

 続いてシューズ編。プーマはアディダスの創業者アドルフの兄、ルドルフ・ダスラーによって1948年、創業されたドイツのシューズブランド。代表モデルは60年代後半誕生した、トレーニングシューズをもとにした「スエード」など。

 オニツカは1949年、鬼塚喜八郎の始めたバスケットボールシューズ研究から始まり、六十年代にはすでにアメリカ西海岸を中心に海外で人気になっていたブランド。1977年、株式会社オニツカほか三社の対等合併で、現在のアシックスが誕生。このときオニツカブランドは消滅したものの、2002年、アシックスが「オニツカタイガー」ブランドをリバイバル、再び世界に店舗を展開しています。代表モデルは1968年のメキシコオリンピックに向けてデザインされ、1966年に登場した「メキシコ」など。

 最後のスペリー・トップサイダーは1935年にポール・スペリーが愛犬の滑らない足から着想を得て作った「スペリー・トップサイダー」というデッキシューズの名作を持つアメリカのシューズブランド。アイビーリーグの学生をはじめ、ケネディ大統領も愛用したプレッピースタイルの大定番シューズです。

 

 第二圏の「エントリー」セレクトに比べると、少し凝ったところが見られます。またデッキシューズではありますが、スニーカー以外の靴も初登場。おしゃれレベルは確実に上がってきています。まあ、地獄なんですが……。

 

 続きます。